八丈太鼓の会「はなみずき」さんの練習にお邪魔しました
「八丈島」と聞いて何を想像しますか?
すぐにダイビング、温泉、釣りなどを想像できる人はおそらく「八丈島通」です(笑。
その八丈島には「八丈太鼓」という、古くは江戸時代から叩かれていると伝えられている郷土芸能があるのをご存知でしょうか。
今回は、港区と秦野市で「八丈太鼓」を楽しむ活動をしている「はなみずき」さんの練習会場にお邪魔しました。
港区での練習は毎週日曜日の18時から21時までで、場所は芝浦小学校が多いのですが、今回の練習場所は「2ヵ月に1回くらいしか予約が取れない」高輪区民センターの音楽室でした。
ちょっとゆっくりめにお邪魔すると、背の高い若者が指導を受けているところでした。
「今日は、体験される方がいるので見ていって下さい」と、はなみずきの横井さんに教えて頂き、さっそく見学を兼ねて撮影開始です。
ここで、八丈太鼓について簡単にまとめを。
八丈太鼓の演奏では、太鼓を横にして両面から打ちます。他の楽器はなく「太鼓一台のみ」というシンプルな構成です。
一定のリズムを叩く人を「下拍子」と呼び、下拍子のリズムに合わせてアドリブで叩く人を「上拍子」と呼びます。
下拍子は地味だが、結構重労働。
練習を見させて頂きましたが、ジャズのような自由さがあります。
下拍子のリズムに合わせて上拍子が叩くというのは、一見単純そうですが実はそうではなく、八丈島では「下拍子との相性が悪い」という理由で、上拍子が叩かないというような事も時々あるそうです。
2人一組で、太鼓の両面を使います。
横井さんご夫婦の演奏を何度か拝見しましたが、上拍子を打つ時に男性は身体全体を使って豪快に叩き、女性は着物を着て叩くため主に腕を回して叩いていました。
ちなみにこの着物は、八丈島に伝わる草木染めの絹織物「黄八丈」です。
※全て手織りのため、機械織りでは出せない独特の感触が特徴だそうです。
もの凄く細かい模様です。これを手で織っているとは!
女性が着物を着て、豪快に叩きまくるのも八丈太鼓の特徴です。
この腕の回し方や身体の使い方は「個人芸」のため、基本的な叩き方以外に特にルールがなく、この自由奔放さが「八丈太鼓」の最大の魅力と言えます。
横井さんご夫婦はさすがに息もぴったりで「ここで終了できるのか!」と思うタイミングで演奏が終わりました。
上拍子の豪快さに目が行きますが、下拍子の叩き手は地味だけどかなり大変な印象です。
今回の練習では、ご夫婦で下拍子・上拍子を交互に演奏していましたが、お互いがどちらもやれるのも八丈太鼓の面白さのひとつではないかと思いました。
八丈太鼓については「はなみずき」さんのホームページに歴史や叩き方のテクニックやコツなどが
丁寧に紹介されていますので、興味のある方はこちらをご覧ください。
「はなみずき」は、現在10人程度の会員がいて毎週練習を行っています。
年間にすると48回程度の練習で、月会費が2000円となっています。
この会費の中から、太鼓の皮を張り替えたりする経費がまかなわれるため、誤って太鼓の皮を破ってしまうような事になっても心配ないとの事でした。
太鼓の皮が破れたそうです。よく見ると小さい穴が空いてました。
この日は、八丈太鼓の基本的な叩き方である「横打ち」の腕の使い方や、足の開き方と体重移動の方法に加え、横井さん達がこだわっている「バチを皮に対して垂直にする叩き方」などを練習していました。
教え方も上手で、ニュアンスが伝わるように「例え方」が面白いです。
ひとつ例をあげると、左手を上げてから横打ちする際の動作の説明では「お笑いのツッコミで、なんでやね〜んってあるでしょ、あんな感じ。」と、誰にでも分かるように指導してくれます。
足の開き方と体重移動の指導です。
一緒に叩き方の練習です。
上にあげた左手は「なんでやね〜ん」で叩きます。
さっそく練習「なんでやね〜ん!」。
八丈太鼓を語らせたら止まりません。
そういえば、バチがたくさんあったので撮影していると、横井さんが「これ、すりこぎ棒も混ざっているんですよ。」と教えてくれました。
八丈太鼓では、先ほどの練習にあった「バチを突くように叩く」技法がありますが、この時通常のバチだとエッジが鋭すぎるため、角が丸くなっているすりこぎ棒の方がしっくりくるそうです。
よくみると、持ち手に「穴」が空いてますね。まさにすりこぎ棒。
バチと一緒に「すりこぎ棒」。
練習の最後は、順番に入れ替わりながら叩く「まわし打ち」です。
アドリブが主体の八丈太鼓らしいですね。おそらく催し物などでは、大勢の人が参加できる打ち方だと思います。
<まわし打ちの動画>
最後に、皆さんで記念撮影。(後ろに写っているのは、横井ご夫婦の長女)
皆さん、お疲れさまでした!
追伸
横井さんは白金5丁目の会社にお勤めで、白金タイムズのご近所でした。
「はなみずき」さんは、練習を自由に見学できます。
練習場所は、ホームページの「スケジュール」で確認できますので、必ず事前に調べてから行くようにしてください。
取材:白金タイムズ【白金新聞】